カテゴリ:創作小説 『カメのおんがえし』( 21 )

『カメのおんがえし』  ・・・「あとがき」

この度は、私の創作小説「カメのおんがえし」を読んで頂き、
誠にありがとうございました。


最初は長閑な浜辺の風景、心が温まる交流・・・となっていましたが、
この様な結末になるとは ?! ・・・と思って居られた方もあったでしょうか。

実は、きっかけとなる部分は 序章から順に・・・と始まるんですが、
もう 既に 初めの方でラストシーンが出来上がっていて、
そこへと向かって行った訳です。

だから、「起承転結」の内の・・・特に「承」はアドリブの様なものです。
「承」で活躍したキャラクターといえば、先ずはカモメ達でしょう。
あと、雀もいましたが。^^;
(この辺りは自分の中で結構 楽しんでしまいました♪)



舞台は・・・海辺。
亀も出てくるし・・・「浦島太郎」を思い浮かぶ様でもありましたが・・・
実は(どちらかと言えば)、きっかけになった昔話は「鶴のおんがえし」です。

「鶴のおんがえし」といえば、おじいさんが鶴を罠から助けて、
御礼をしたい、恩返しをしたいと思った鶴(もしくは鶴の精?)が、
「娘さん」になって、機織りをし、それで恩返しを。。
自分の羽毛で織った素敵な反物をお金に換えて・・・、でしたよね。

「夕鶴」も・・・おじいさんの部分が青年(一人)になってるだけで、
内容は同じだったと思いましたが。。。



たった一つの条件&約束事、「決して覗かないでください。」を
最終的には〝見てしまう〟



これって・・・ある意味「欲」の内ですよね、「知りたい」という。。
また、その前に…いい値で売れる反物を「もっと織って欲しい」と願うのだから、
これも「欲」が出てきたということ。。


昔話は、ある程度似たパターンがあるようで、
「正直者」「慈悲の心、感謝の心を持つ者」に対し、「意地悪」「欲張り者」等あり、
正義があり、悪があり、、その中で「恩返し」の様なものも あったり。。


「良い行いをしたら 良い事(結果)があるよ」(悪い事すると罰が当たるよ)


子供の頃から・・・日本、外国の話、どちらでも、そう思って来ました。
勿論その通りでもあります。。

そして、その良くない事の方に「欲」絡みの事が多いですよね。
だけど、所詮、人間は「欲」で生きている。。
その辺を 物語に・・・特別悪い奴だから~じゃなくって・・・盛り込めれたらな~と
綴って来ました。。

だから、カモメ達が「人間は~・・・」なんて言ってたんですよ。^^


あ! 「所詮、人間は「欲」で生きている。」と言いましたが・・・

   「欲」だけで生きている

   「欲」で生きている

違うと思います。
上は、それこそ「欲を張っている=欲張り」ですよね。。

でも、「欲」に弱いという部分を持ってるのも人間。。
「生きたい為の欲」から「物欲の方へ」と変わり易い所も否めない…カナ?




恩返しとは?  
人間とは?(人間社会)
欲とは?

その辺りが、いつも頭にありました。
(それはカモメに演じてもらった。^^;)


だけど一番書きたかったのは、やはり「カメと青年」のことです。


上に在る様な「人間の業」みたいな・・・その中で、この二人は

どうなるんだろう? どうするんだろう?

と、言うことです。。



後半、玄関口にそっと真珠を置く様子・・・何か物語に気づきませんでしたか。
書きながら、実は「ごんぎつね」が頭にありました。
「浦島太郎」「鶴の恩返し」「ごんぎつね」を上手く組み合わせてやろう~とか言うのじゃなく、
昔話や童話などで綴られてることは、まともに読んだらそのままの意味だろうけど、
同じ様な状態の時、「1人のキャラ」として、どう考えるだろう、感じるだろう?
が、実は私の思いかもしれません。

なんせ、書いてる時は無心でしたがね。^^;


「ごんぎつね」も最後に銃で撃たれてから・・やっと気持ちが伝わった。(かも?)
ペットだって、毎日様子を見てる内に表情から何を求めてるかは把握できるようになる。。
「カメのおんがえし」の方は、、逆ですね。。

でも・・・心で交信出来た素直に受け入れられた頃は、、
字の如く「心友」同士だったんだと、思っていたい・・・なんて、作者の欲?w



これ以上言うと、言い訳や・・・話が止まらなくなりそうなので、ここまでにします。(笑





長くなりましたが・・・

最後まで 読んで頂き ありがとうございました。

また、コメントも頂き、大変励みにもなりました。


拙いものでありましたが、皆様、本当にありがとうございました。 







   原案
   (SNS系サイト=mixiにて。 日記の様に思いつきから…)
   書き始め・・・2009年2月15日
   終了・・・・・・・・・・・・・・3月29日


   第一回目の発表(別所のブログにて)
   2010年1月12日~2月10日


   他・SNS系のブログにて発表済
   2011/07/01~7/19
   2012/03/02~3/27



   当ブログにて発表
   2013年8月5日~10月11日(ラスト) …18日(アトガキ)







 
 
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by sino-kotoha | 2013-10-18 22:36 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(8)

「カメのおんがえし」 最終章 ~願い、祈り、そして・・・~

亀の本体に向かって、少年の影が吸い込まれてゆく様に重なっていった。。



眠った体の亀の瞳が静かにゆっくりと開いた。。。




〝ありがとう。。。 お星さま~~。〟



今は まだ夜のなか。。。

まぁ~るい お月様は、だいぶ傾いたようだったが。。
どうやら、雲に隠れたらしい。。。

お月様も気兼ねしたのかも・・・。  カメの涙が見えない様に・・・。



カメは・・真っ暗な海に向かって 静かに潮騒を聴きながら・・・
自分の心に問いかけた。。。




        一つは、お星さまにお願いした。
        もう、カメのままでいると、言った。
        それが、一つ目の答え。。

        「言葉掛け」は・・勇気が無い。。
        「勇気」は、自分で持つものと教えてくれた。。
        ・・・「勇気」持てたら、にいちゃんに・・・
        ・・・・・・・伝えられるのかな。。。
        でも、今、出せない答え。。






〝ふう~ぅ~。。〟と、深~く 大きい溜め息をついた。。



そして、夜空を見上げ・・・、




〝今夜もいい星空だね。。   ・・・、ね、・・にい・・ちゃん・・・。。〟






初めて一緒に見上げていた夜のこと、思い出していた。。




お月様は雲隠れで見られないけど・・、その分 星達がたくさん見える。。







ス―――ッ・・・ひとつ星が流れた。





〝一緒に見たんだったよね・・・。 願い事言えない~~って言って・・・。〟







        願い事。。。
        願った事、望んだもの。。


        話ができて・・・うれしかった。 楽しかった。
        待ってる時も・・・
        ずっと 待ち遠しくて・・待ち遠しいくらい・・幸せだった。。

        一緒に海を泳いだ。
        ボクの・・・住む世界を・・・見せてあげる事・・できた。。。
        喜んでくれた。
        ボクも・・嬉しかった。。

        「恩返し」が出来るならと、「人」の手を欲しがった。
        そして、・・・人間に・・・少しの間だけ 人間になれた。。
        ・・・にいちゃんに「安心」を・・・あげること・・できた。。。



        にいちゃんと・・・『トモダチ』・・・だったんだよね。。
        だから、話が・・できたんだよね。。

        うれしいこと、楽しかったこと、安心できること。。。
        ボクも・・いっぱい、あったよ。。
        いっぱい、いっぱい、あったよ。。

        いっぱい、いっぱい・・・しあわせだった。。。
        ・・・生きていてよかったって・・思った。。
        ・・・生きてゆきたいって思った。。






        ありがとう!

        助けてくれて、ありがとう! 
        ・・・救ってくれて・・・ありがとう。。

        居てくれて・・・、気づいてくれて・・・、ありがとう。。

        ・・・『トモダチ』で あってくれて・・・ありがとうー! 










〝・・・なのに! どうして、涙が出て来るんだろうー。〟





星空を見ながら、そう叫んでいた。






また、ひとつ・・星が流れた。。



〝願い事。。ボクの願い事は・・もういいんだ。。
もう・・・叶ったんだ。。。叶ってたんだ。。。「恩返し」は出来ていたんだ。。〟




〝・・・ただ、・・・できれば・・・ただひとつ・・・。。〟



また、ひとつ、もうひとつ・・・星がある一点から・・・順々に流れはじめた。。


まるで、雨の様。。  カメさんの涙じゃない。。。




たくさんの・・・流れ星。。。  ・・・流星群。。。






〝ボクの願うのはー! たったひとつー!〟




たくさんの星が流れているけれど・・・、





〝この、たった一つの願いを・・・聞いてください――!!〟






        〝にいちゃんの幸せをいつも守っていてー!
          いつまでも・・見守っていてくださーいー!
          ただ、これだけですー!
          にいちゃんが、いつまでも幸せであります様にー!
          ・・・それ・・だけ・・。。〟







カメは、流れる星をひとつひとつ追いながら・・、


たった一つの願い事を



空に向かって伝え続けた。。。


















       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









空が、明るんできた。。


いつもと変わらず朝がやってくる。。。





風がひんやりと・・カメの頬をなぞっていった。。






カメは、


砂浜を しっかりと、



ゆっくりと、




一歩ずつ、





海へ向かって歩いていた。









カメの足許に波が くすぐりに来る。。







カメは、じっと海の彼方を見つめている。







そして、



一歩、前に進む。。   もう、陸の方に振り向く事なく。。





いつものように海に潜っていった。。。








海に抱かれる様に。。。









大海原へ。。。














                = 完 = 



 
 
 


 

続きはこちらへ・・・
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by sino-kotoha | 2013-10-11 12:20 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(8)

「カメのおんがえし」 19 ~戸惑い・・涙。。~

〝カメ〟は、まだ木の上に そのままで居た。。



〝どうしよう・・・。 どうなるんだろう。。
・・・ボクは・・これから・・どうしたら・・いいの・・。。〟

哀しくて・・、辛くて・・・、涙が止まらない。。。



〝おほしさまぁ~~~。。
どうしてこうなったのォ~~~。・・恩返し・・したかっただけなのに・・・・・。〟


〝どうして・・・。
どうして・・・何が いけなかったのー? ボク・・・悪い事してないよ。。〟


〝わからない・・・。 わからないのに・・・、とっても苦しいよ~~~~!!!〟




居た堪れなくなって「お星さま」に呼びかけていた・・呼んでみるしかなかった。。





夜空の星がチカチカと瞬いたようだった。。


〝にいちゃんに・・解ってもらえなかった。。
・・・明日から・・ボクは、どうしていこう。。〟


〝カメ〟は ギュッと目をつぶり、木にしがみ付いていた。。







≪かめさん~。 カメさ~~ん!≫

その声にハッとして星空を見上げて〝カメ〟は もう一度呼びかけてみた。


〝ボク・・、これからどうなるの――?・・・どうするのがいいの――?・・・・・〟
涙で訴えてみた。。


≪カメさんは、どうしたいの?≫

〝・・・え~っ・・・?・・。〟

≪・・・「カメさんが どうしたいか?」・・・なのよー。≫

〝そんなの言ったって――!  ・・・わからないよ・・・。〟

≪人間になれるという不思議の力をあなたに送ったワタシ達だから、
精一杯の事は してみましょう~!
だけど、カメさんがこれから「どうしたいか?」・・・なのですよー。≫





同じような「どうしたらいい?」であっても・・・
依頼心の強い気持ちで問うのと違い、方向を定める為の・・・決心と。。。


その事を、「お星さま」は、カメに訊きたかったのだ。





〝・・・わからない・・・、わからないよー。。〟


〝もう、ボクは・・・人間になる必要がなくなった・・・。 声も出せないー。
・・・・・何も通じない。。。 それに、会ったって「どろぼう」って思われてるー。。〟


≪・・・・・・。≫
星達は、黙って聴いていた。。



〝ふ・・・ふぇ・・・ふぇ・・ぇ・・~~ん~~~~~。。。〟


〝カメ〟は泣き出してしまった。


≪どうしたの・・?心に詰まってるもの、言ってごらん。。≫


カメの心境は、痛いほど解っているのだ。
だけど、敢えて そのように訊ねた星達だった。。




〝・・・ゥ・・・ぅえっ・・えっ・・・・。。。 も・・・もう・・・ハ・・はな・・し・・が・・・・・・!〟


カメは・・・感づき始めていたのだ。。
もう・・・、心で交信し合う事もないと。。。
だから・・・、会話を持つ事も・・・、だから・・・一緒に行動を共にする事も・・
出来なくなると。。。



      ・・・・・・・だから、どうしたいて言ったってー!・・・・・・・





暫くして・・・〝カメ〟は、涙を拭きながら・・、もう一度・・言い直した。


〝・・もうね・・。 ・・・きっと話せなく・・・・ぅ・・・ぅッ・・・なるって・・・気がする・・・。〟

嗚咽を漏らしながら・・・

〝で・・・でもっ・・・・ぅ。。。  ボク・・・、ボク・・・!〟



≪・・・カメさん・・・。。  カメさんは・・今とっても辛い。。
その辛いのは・・「どろぼう」に間違われた事よりも、
青年に解って貰えなかった事。。
・・・そうよね。。。≫


〝カメ〟は、もう言葉に出来ず・・泣いているだけだった。。



≪カメさんは、「にいちゃん」が 大好きなのよね。。
本当は、ずっとずっと一緒に居たかった。。 いっぱいお話もしたかった。。
かめさんが嬉しかったから・・、「恩返し」をしたかった。 ・・・だよね。。≫


〝ホントは・・・ホントは・・・、「恩返し」した後の・・にいちゃんの笑顔が見たかったー。
にいちゃん達が・・・、にいちゃんが・・!幸せになったら・・・!ボクも・・・
ボクも・・・! 嬉しいからっ・・!〟


≪うん、うん。。
そうね。。青年は・・、亀であるカメさんは見てくれると思うよ。。≫

〝・・・・・。 ・・・でも・・。〟

≪うん。。 もう、お話出来ないって・・思うんだね。。 ・・・わかるんだね。。≫



〝カメ〟は「会話」が交わせない事・・それがどんな事なのか・・判るのだった。
せめて、青年の言っている言葉だけでも分かれば・・。
だけど、それも・・・出来ない事が・・・(思いたくなくても)・・判る。。。



自分の言葉も・・・もう届かない。。。



そういうこと。。。




カモメの爺さんが 言っていたことを思い出しながら・・・
〝だけどー!・・・・・・信じていたいよ・・。〟




        信じていたいよー。
        ・・・信じて欲しいよ。。。  






しばらくの時間が過ぎて行った。。。


≪・・カメさん。。 ショックが強すぎたね・・。
今夜は・・・私達の力で、あなた(少年)を浜辺まで送ってあげるわ。。
答えは・・・今は出せなくてもいいよ。。
どんな答えでも、カメさんの「思う」事こそがあなたの確かな支えに
なるのだからね。≫


その声が聴こえた後、少年の体が ふわ~っと空中に浮かんだ。。



優しい光に護られる様に包まれながら・・・、上空を渡ってゆく。。。






潮騒の音が聴こえる頃、〝カメ〟は お星さまに訊ねてみた。


〝ねぇ・・。。 もう、このまま・・・ボクを・・亀の体に戻してくれる・・?〟




眠る体の横に降ろした 星達は・・、
≪・・・いいのね。。 もう二度と人間には戻らなくていいのね。。≫


〝うん。。 いいよ。。
ボクは・・、カメだもん。。 ずっと カメで来たし、これからも ずっと・・・。〟


〝人間には どっちにしてもなれないよ。。
もし、強い魔法が掛ってなったとしても、きちんと言葉が声が言えても、
きっと、ボクは・・・やっぱり・・カメだから・・・!〟




星達の力で・・空を移動している時、「声」を頼もうか?とも思ったりした。
だけど、今の自分では「人間」の中に行く事さえ出来ない。
その勇気もない。。




〝ボクに・・・、本当に必要なのは・・・「勇気」なのかも知れない。。〟



≪・・・。 「勇気」は・・ワタシ達が あなたに与えるものじゃないわ。。
あなた自身で 掴む、持つものよ。。。≫




カメが、つい呟いたのを星達は聞いていて、そう答えた。。
 








 
 
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by sino-kotoha | 2013-10-08 08:13 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(2)

「カメのおんがえし」 18 ~満月の夜・・大きな真珠~

カメが目を覚ました時は、もう少年の姿になっていた。。


少年の淡い光をも包み込む光が、その頬に触れている様。。。




今夜は満月。。
その中で ゆっくりと大きく息を吸い込んで、そして吐いた。




海がキラキラと反射して輝いている。


いつものように少年のカメは、海へと潜っていった。。







〝わぁ・・・・・。 今夜は、たくさん取れたァ~~~!〟

開ける貝 すべてに必ず入っていたのだ。 ・・・中には大きいものもある。



〝これなんか・・、お月さまみたいだなぁ~~~。〟

指先で眺めていると、まるで虹色の光も持った月の様。。




海底を見渡した時、貝も たくさんそこに居た。
勿論、むやみには取らない様にしている。。
それでも、掌に載せてみれば、この間よりも数はあり・・優しく輝いていた。



少年のカメは、それらを大き目の貝殻に入れ、大切に胸に抱かえ、
スクッと立ち上がった。


〝今から・・・、これを持って行こう~。 ちょうど いい時間に着くだろな~。〟


その時間なら 誰にも見つからず、これに気付いて貰えるのは朝だろうと・・
そう思ったのだった。。





真珠を落とさない様に ゆっくり歩きながら、
この間の「にいちゃん」との会話を思い出していた。


 



   『いいさ~。真珠のお陰で、だいぶ楽になってるんだ。』

                 ・
                 ・
                 ・

   〝また集めておくね。〟

   「いつも悪いな・・・。 俺が潜れないばっかりに・・・。」

   〝全然、かまわないよ~。〟

   「う・・・ん・・・。 ホントに助かっている。 おっかーは 歳のせいもあってさ、
    兄貴が亡くなったのが一番の原因もあって・・、体も無理してたかな。。
    長く掛かるんだ。。。 
    だけど、よく効く薬の・・お陰・・で、助かっ・・・た・・よ。」


   〝・・・(?) ・・・(急に聴き取れなくなった。何だ?)・・。〟


   「・・よく効・・く・・薬ってさ・・、す・・ごく・・・タ・・カ・・い・・ンだ・・・・・ョ・・。
    い・・マ・・・まデ・・・ダッ・・・・たら・・、ゼッタイ・・! 買え・・ナ・・・かったタ・・・。」







・・・どうして、あの時 急に聴き取りにくくなったんだろう?・・・
それでもなんとか聞けたから、いいのかな?と思いながら。。。






   「後は・・、滋養の・・あるもの食って、俺に任せて のんびりしろって、
    おっかーに・・言ったんだ~。安心して・・もらいたくてさ~。」


   〝・・・(やっぱり気のせいか・・・。)〟


   「だ・・けど・・・、嫁が・・早め・・に・・・治した方がいい・・と言って・・・る。
    薬を・・・・もう・・一度、買っ・・・て・・きて・・・あげ・・ル・・・・・って・・さ・・・。
    折角・・の・・カメさ・・ん・・・の・・・好・・意をム・・ダにしては悪いってね。。」


   申し訳なさそうに言ってた姿にをみて、カメは言った。

   〝気にしないで~~!大丈夫だよ~~!
    お星さまと 約束して取って来るだけだから~。
    ボクは、深く長く潜れるから~、取って来れるだけだよー。〟
   

   青年は俯きながら答える。。

   「俺なりに、・・養って行こうって思ってるんだ・・・けど・・・
    ・・・・すっ・・かり・・・甘え・・・・て・・しまって・・・・」

   〝いいよー。 ボクにできる事をしてるだけ!
    それしか出来なくて・・・。 でも幸せになって欲しいから~~!〟





    〝ね!!  にいちゃん!!〟


                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・




あの時、にいちゃんは聴こえてなかったのかなぁ。。。

にいちゃん・・・、いろいろ考えごとをしていたんだね・・・・・。




そう思いながら、ふぅ~っと溜め息をつき、青年の家の方へと歩いて行った。









家に着くと、奥の方で人が起きている気配もあった。
まだ灯りも灯されている。。



〝・・・ちょっと、早く着いちゃったかな~。〟


普段、重い体で移動しているせいか、
その言葉通り「身軽」になって動きやすい。


この間の人の集まった時とは違って、とても静かな夜の空間が
心地よく安心できた。



少し玄関が開いているようだ。
大事に持ってきた真珠を戸の内側へと、あの日と同じ様にそっと置いた。


〝これで、早く良くなってね。。。〟

コトッと貝殻ごと置いた・・・つもりで、
うっかり あの大き目の珠を転がしてしまった。

少し奥に転がったその珠をそ~っと手を伸ばし拾ってその中に置こうとした。

その時、
「だれ?」

〝!〟


手には、まだ置く前の状態で珠を持っている。


〝(見つかっちゃった~。)〟

少年姿のカメは、ペコっと おじぎしようと思った瞬間・・・!

「・・・! ど・・ド・ロ・ボ・ウ―?! どろぼう―――!! 誰かぁ~~!!」
嫁さまの声を聞いて「にいちゃん」と よく似た初老の男の人が奥から出てきた。
その後ろに遅れて、そっと老夫人も様子を伺っていた。


「大丈夫だ、大丈夫だ!わしが ついておる!」と、青年の父。
「まだ 寄り合いから 帰って来ないのかえ~?」と、母親が訊く。
嫁さまは、警戒しながら、
「もう終わる頃なんだけど・・あ~、早く帰って来てー。」


少年のカメは、首を横に振り・・・軒から後退りしながら、
〝違う!違うよー!どろぼうじゃないよー!・・ボクだよ~~~!!!〟


だが、声が届く事は無かった。

あの「不思議現象」が 始まった夜、〝お星さま〟が言った通り、
今まで 分からなかった人間の言葉が今は声ごと・・何言ってるか理解出来る。
が、自分の言葉は・・・否、声の音を出す事すら出来ないでいた。 
叫ぶ事も・・・・・!


〝カメ〟は逃げ出したかった。
だけど、解っても欲しかった!


〝でも・・・!!! 怖い・・・・!!! 〟


体が小刻みに震えていた。。
〝カメ〟は、その場から 後ろに振り返り、走りだした。


と、その時!
何かとぶつかって、〝カメ〟はよろめき尻もちをつくような形で転んでしまった。


「ぅわぁ! な・・何だ?!  ・・・おい?大丈夫か?」

その声が、直に耳に伝わって来た。
懐かしい・・・〝にいちゃん〟の声。。


〝にいちゃん――! ボク・・・! ボクだよ――!! ・・解ってー。。〟
少年は口をパクパクさせているだけだった。。


「どうした? ん? 見ない顔だなぁ。 家は何処だ?送ってやろうか?」

少年は、首を横に振るだけ。

「子供が、こんな遅くに・・・。 家で心配してるぞ。」
いつもの笑顔で、手を取って起こそうと 近づいてきた。


〝に・・い・・ちゃぁ~ん・・・。。〟

半分ベソかきそうな顔で、その手を取ろうとした時!


「あなたァ~~~!! その子、どろぼうよ―――!!」
嫁さまの声に、青年は振り向き・・、また、少年を今度は驚いた顔で見、
「あなたァ――! 捕まえて~~!」の声に、青年は悲しい瞳で少年を見ていた。


〝にいちゃ~んー! 解って――! ボクだよ―!〟


      どうして? どうして、そんなに悲しい目で見るの~~?
      ボクのこと 解って――! 信じて―――!!



〝カメ〟は、心が通じない事が 段々と悲しくなってきた。


〝ボクが、どろぼうと思って、悲しい目をしてるのー?〟



青年は〝こんな子供〟が 盗みを働いてしまったという事に対し、
哀れに思っていたのだった。。

「子供」と言えども どろぼうだ、捕えて厳重に注意をしなければならないと、
〝少年〟の方へ歩み寄ろうとした。


〝カメ〟は、後退りをしながらも、必死で声を出そうとして・・・。

でも その声は出すこと出来ず、喉の奥の焼ける様な痛みが増すだけ・・・。

「ヒぃ~~~! ・・キィ~・・・!!  ・・・にィ~~!」

涙が口の端から喉へと流れ込む。


「ヒゃ・・ッ・・! に・・。。  ・・・に・・ にィ・・チャ・・・あ・・ぁ・・・ん・・・。」

首を横に振りながら、後退りはするものの、目は青年の顔を見ながら・・・!


非常に怯えてる子供をどうにかしようと言うのでない・・と 青年はそう思っている。
「怯え」は、もう反省をしているだろうと思ったからだ。。


 =「カメさんの折角持って来てくれた真珠を盗もうとしたのよー。」=
 =「まだ こんな子供が・・・! 末恐ろしい~~!」=
 =「最初が肝心!きつく叱ってやらないと!人様のもんに手を出してー!」=

など・・・いろんな言葉の渦が〝カメ〟に襲いかかって来る。
家の奥から、家族の者が出て来て様子を伺っている。。
青年は、少し厳しい顔をして、〝少年〟を捕まえようとした・・、その時!
〝カメ〟は、サッと立ち上がり その場から素早く離れた。

そして、もう一度 振り返り、力の限り叫んでみた!



     『にィ・・チャ・・・あ・・ぁ・・・ん・・!』



青年には、その声は「イヤー!」と聞こえた様な気がした。。
が、何処となく “懐かしい言葉”・・・・・。 

     =「兄ちゃん?」=

そんな筈が無い、弟は いないのだし・・・と思いなおした。



〝にいちゃん・・・。 気づいてくれない。。〟

〝カメ〟は とても哀しく寂しく・・そして悔しい気持ちも何処かに持ちながら・・、


 ―― そう・・・、自分自身がとても悔しい・・そんな気持ちを感じながら・・・――


そこから、全力疾走で駆け出した。




「逃げたぞー!!」
「待て――!」


〝カメ〟の目には涙が溢れ・・何度か拳と腕で拭うものの・・留まることなく・・、
目の前が滲んで何も見えない、見れない状態のまま・・、
でも、それでも必死で走った!


確かに 足は速かった。
しかし、途中で何度も躓きそうになり・・何処ともなく血が滲んでいる様子。。

だけど、走った!  海へ向かってー!!




  〝こんなくらいなら・・・、ずっと亀のままの方が よかったのかなぁー。〟

  〝にいちゃんと、ずっと・・ずっと「トモダチ」で いたかったよォ――!〟






足が速い、少年の姿の〝カメ〟。。
だけど、背のある大人の方が、どんどん 追いついて来る。
このままでは、海へ着くことも出来ない。
そう思った〝カメ〟は、夜道から少し外れ、林の方へと逃げた。


少し太めの木の陰に一旦身を隠し、どうしようか迷っていた。

〝どうしよう・・・。 ・・・木・・・の上?・・・。〟

何故 そんな事を思いついたのか?
亀が木を登るなんて、聞いた事が無い。
登れるかな?・・と思ったものの、躊躇ってる時間は無い。

『人間の手足』を持つ〝カメ〟は、思い切り 蹴り上がる様に
上へ上へと 登って行った。



太く・・、そして高い木であった。

下では、探している様子が感じられる。。



「・・・・・。 見失ったようだよ。。 あの子供も かなり反省してたと思うよ。
さ、もう いいだろう。 帰ろう。。」
「だって、また来たらどうするのー? きちんと、注意しなきゃ・・・・!」
「だから、もう大丈夫だって。。
大人のさ、賊って言うんなら、村総出で捕まえるけどな。」

両親は きっと家で待っている、見張っているんだろう。。
若夫婦で あとを追って来たのだった。

「だけど・・・!だけど、怖いわ!子供でも・・・。」
「あんな小さい子だったじゃないか。 大丈夫だ!俺が居るからいいだろ・・!
もしも、また悪さをしたら、今度こそは きちんと捕まえるよ!」

「カメさんの真珠・・・、狙われてるのかな。。」
「もういいよって、俺からも言っておくよ。 あいつ(カメ)も大変そうだから。。
最近、あまり話さないんだ・・。 疲れてるんだろう~。」
「あ、でも、それじゃ~お金・・・お薬も・・。」
「仕方ないじゃないか・・・。 俺が 働くしー。
どうしてもって時は・・、その時はその時でさ・・・。」



二人の会話が下の方から 静かに空気を伝って届いた。。








頭上には、星たちが輝いている。。




〝お星さま〟に・・、ほ~んの少しだけ近づいた所に居る。。。




〝カメ〟は お星さまを見上げながら・・・

・・・ どうしたらいいのか、分からなくなっていた。。
 





 


 
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by sino-kotoha | 2013-10-05 14:37 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 17 ~言葉~

あれから何日か経った。。
嫁さまが寄る時は、まだ渡せないでいる。



もう そろそろ言葉を交わせてもいい筈なのに・・・と思いつつ、
カメは 爺さんカモメに話してみた。


爺さんカモメは・・・
“数を話したから「トモダチ」と言うんじゃない。 思い出してご覧よ。
あの青年と〝いつ〟話せた?”

〝・・・直ぐだった・・・よ。。 だがら、あの時は 驚いた。〟

“じゃろ?「信頼関係」をお互い持つ者同士だったからじゃよ。
「信頼」って分かるか?
相手の事を「信じる」「信じられる」ということじゃ・・・。 ”

カメは〝うん〟と頷いて聞きながら・・・、
〝だったら・・・、ボクが嫁さまを信じていないって事?
にいちゃんのお嫁さんだもの。「働きもん」でいい人だと思ってるんだけど。〟

ふ~む。。と 爺さんカモメは考え・・・、
“お前さんじゃなく その嫁が まだどこかで「亀は話さない」と
思ってるんじゃろか?”

〝・・・・・。それはボクも・・そうなのかな~と思うよ。。
でも、一回だけ話が分かった時があったんだよ~。 
だけど、いつもは口を動かして何か言ってるだけ。 何も分からない・・・。〟

“わしが その場に居れば、何とか分かるかも知れんじゃがのう~。
今は・・・何も言えんがのう~。”


まぁ~、いいよ、その内だよと、爺さんカモメに言いながらペコっと頭を下げて
「ありがと」と お礼を言った。



〝あ、も・・(ひとつ・・・)。。〟

と言い掛けたが、言葉を呑みこんだ。




この数日間の内、二回ほど 青年に会えた。
時間の余裕が出来たこと、それはカメにとっても安心だった。
何よりもまた「逢うこと出来る」のが嬉しかった。

真珠は・・・ほんの三粒ほどだったけど、青年に渡した。
嫁さまの時は、渡してないので、此処に来る回数も減って来たような気がする。


青年は、これからは所帯も持った事なので、村の寄り合い・祀り事の協力にも
積極的に参加しなければならない。
「また、暫くは来れないよ。  前なら夜でも来るんだけど、今はなぁ~~。」
〝ボクは、いつでもここで待ってるよ~~。〟
カメはそう答えたのだ。

またすぐに逢えるさ~と。。。


〝いっぱい仕事、増えちゃった?〟
「いいさ~。真珠のお陰で、だいぶ楽になってるんだ。」
にっこり答える青年を見ながら、カメは・・
青年が、痩せていたのが解消されてきている事に気づいていた。


〝ほんとうに よかった~。。〟








・・・・・・・・・。

ただ、少し気になる事があった。。


この間の その会話を思い出しながら、海の方を眺めていたカメは・・・、

〝どうして?  ・・・どうしたんだろう?〟

嫁さまの事なら兎も角、
青年とも会話の中に時折、雑音(ノイズ)の様なものを感じた。


また、カメは実はまだ青年に向かっては「にいちゃん」と呼んだ事が無かった。
その「にいちゃん」の横顔を見ていて・・・、初めて呼び掛けてみたのだった。

だけど、全然 気づく様子が無かったのだった。
普段は、振り向いてくれるはずなのに。。


〝ボクの耳がおかしくなったのかな~? それとも・・・
人間に何度もなってる内に、話が出来なくなって来たのかな~~。〟


とっても寂しい気持ちになって来たカメ。。




    最初は、カメだったから話が出来た?
    夜だけと言っても、人間になるから?

    ・・・・・・・・・・・・・・。
    いつか・・・いつか、仮の人の形じゃなくて、
    本当の人間の子になれるのかな~。。

    だったら・・・!
    だったら、にいちゃんの「弟」になりたい!
    だったら、ずっと一緒に居られる!暮らせる!

    でも・・・・・・。
    それは、ならないだろうな。。。   なれたらいいなぁ~~。




寂しい気持ちを消す様に「不思議な事」が起きたら~と考えてみたが、
余計に、寂しさが募って来てしまった。。





〝・・・・・・・。 だめだよ。。 寂しがってたら・・・にいちゃんに恥ずかしいぞ。。〟


〝ちょっと、疲れちゃったのかも~~~。ヨシ!今からたくさん寝ておこう!〟




自分自身に言い聞かせたカメは、首をすくめて 目を閉じてみた。。







目を閉じても、今までの想い出が浮かんでくる。。


〝・・・ボクも・・・早くお嫁さん来てくれないかなぁ。。〟





独り言を言いながら、瞼をギュッと強く閉じたのだった。。。






 
 
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by sino-kotoha | 2013-10-02 15:35 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 16 ~宝物~

あれから・・カメの毎日は同じリズムで進んでいった。
ただ、真珠を見つけられるのか、その日によって違っていた。。


あの最初の 家まで届けた次の朝、
ちょっと涙ぐみながらも喜んでいた顔を思い出すと
カメの心は、とても温かい気持ちになり、軽くもなる気がする。

一つずつ、一つずつ・・・、大事に仕舞って、また いつかの夜に
そっと玄関まで届けに行こうと思っていた。




数日経って、嫁さまがカメの所に寄った。
「海は、いいね~。あの人が ここが気に入ってるの分かるわ~~。
今日は町へ出掛けるのだけど、その前に此処へ来たくなっちゃってね~。」
何処となくソワソワしている様子。


砂の中に少しばかり仕舞ってあるのだけど、カメは渡さなかった。
全く、言っている事が分からないのだ。



〝心で話せない。。。 どうしてなんだろう。。。〟

〝ずっと前にカモメの爺さんが、話せるのは「トモダチ」だからと教えてくれた。
「トモダチ」になるって、難しいのかな~?〟

言葉が分からない内は、今は渡さないでおこう・・・そう思ったのだった。




「・・・・このカメ・・・、ジッと見ているだけで、何も話してくれないわ。。。
仕方ないわ。今日はこれで帰りましょう。。」
嫁さまは、そう呟きながら、浜辺を後にした。


・・・決して、この嫁さまは、欲張りで言ってるのでは無いつもり。
だけど、いきなり「幸運」に恵まれ、カメはせっせと探しているだろうと
思えるので、今度もあればいいな~と「期待」を持ってしまってるのだった。


人間であるが故の・・・落とし穴。


カモメ達がよく言う
“人間は、余分な事を思うからな~、ろくな事を考えないから~。。。”

そう言うことだろう。。。





真珠は・・・海の宝物。
人間の言う「形のある財産などの宝物」ではなく。。
真珠も、他の貝も、珊瑚も、魚も、その他の生物も・・・
カメも、海藻の森も・・・。。。
何もかも ひっくるめて『掛け替えのない宝物』なのだ。

カメは、綺麗に光るそれを最初、青年に見せたかったのだ。
結果、「幸運」になれた事から、〝幸運に近づける宝物〟と思っている。。


喜ぶ顔・・・、やっぱり にいちゃんのその顔を見たいと思うのだった。。


〝にいちゃんが、海に来れたら渡してもいい!
嫁さまとは「会話」が出来るまでは・・・渡せない・・・。〟

なんとなく そう考えたカメだった。






カメの見つけた真珠は、実際、いい値で取引された。
だからと言って、遊んで暮らしてる訳ではないし、
まだそれ程の〝裕福な〟状態になった訳でもない。
だけど、丁度 時期的に「畑仕事」の一段落をむかえてるのと・・
一日中 汗水してまで働かなくてもいいくらいの〝余裕〟が
少しばかり出来たのは事実だった。


青年も少しづつ時間が取れるようになり、
前よりも 海辺まで やって来れる様になった。

あれから、なかなか取れなくて数粒だけど、
カメは大事に仕舞ってあった真珠を青年に渡した。


「まだ、取ってくれてたんだね。。 ありがとう~。」
〝ううん~、「たくさん」は取れないけど・・・、それでも喜んでくれるから~!
みんな元気!みんな幸せ!なれるから~~!!〟
「海に潜るのは容易いことでも、その中から取り出すなんて大変だろうに・・・。」

〝あ・・・あのね・・・・・。〟


カメは人間になれる事、言おうかと思った。
別に・・・そうなる事をばらすのは「条件」という約束事ではないし、
「お星さま」が言った条件は、むしろ「カメの為」の事が殆どだった。。。


   ・・・・・にいちゃん、ボク人間になれるんだよ・・・・・


と、言おう~・・・・・・として、やっぱり止めておいた。



『信じられない現象』であっても、青年なら信じてくれるだろうと思っている。
だけど、カメは〝いつの日か〟その時が来るまで「チョット秘密」にしておこうと
思ってみたのだった。




「ん?どうした?」
〝・・・う・・・ん。。 ・・・あ、久し振りに泳ごう~!〟
「あぁ~!いいなぁ~~! あ、でも 随分泳いでないけど・・・」
〝大丈夫だよー!ボクがついている!!〟


ふと青年は、あの途方に暮れてた頃の・・・殻・・甲羅に閉じこもったまんまの
あの時のカメの事を思い出していた。

そのカメが今、目の前で瞳を輝かせている。 
自信に充ち溢れてる様に。。

「・・・お前・・、強くなったな。。」
少し羨ましくも思いながら・・・。



〝ん?〟


海へ歩きだしたカメは少し振り返り、青年の顔を見てニッコリ笑いながら、
泳ぎなら~任せておいて~という風に、こっちこっち!と 海へ誘った。



 


 
 
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by sino-kotoha | 2013-09-29 17:12 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 15 ~恩返しの幸せの珠~

朝が来ても、カメは死んだように眠り込んでいた。
カモメが、コツンと甲羅を軽く突いても、ビクともしない。

“おいおい・・・、大丈夫か? まだ眠っているよ。”




あれから・・・・・
無我夢中で走って、走って、ようやっと浜辺に着き、そのまま座り込んで、
四つん這いになって、荒い息を整えようとした 少年カメ。。


普段は、重い甲羅ごと「ヒレの足」で歩くだけだから、
少年の姿になった時は、かえって軽く感じ走るのも早くなる様子。

だけど、こんなに走ったのは初めてだから・・・なのか?
それとも、やはり「人間」に対し、怖れを持ってたせいか・・・。

荒い息も、心臓の早さも、治まるタイミングを掴めずに、
そのまま 力尽きて 眠ってしまったのだった。

・・・夜明け前には自然と少年の影はカメの体へと重なっていった。。







“あ!来たッ!!”

そう言って、カモメは慌てて空へと飛んでいった。





「お~~い!」

深い眠りに着いているカメの所へ やって来たのは青年だった。
空では、その〝ふたり〟の様子をカモメ達が見守っている。。


いつもならカメは 青年に反応する筈だが、動く気配もない。

「おい!大丈夫か? 大丈夫かぁ~~?!」
必死に呼びかけ、体ごと揺らす。



〝・・・・・・・・・、ン・・・?〟


少し頭を動かし、やっと青年の声に反応を示した。

それを見た青年が、ホッと胸をなでおろし・・
「・・よかった・・・。よかった~・・・。。」
そう言いながら、カメを抱きしめた。


深い眠りからいきなり起こされ、・・・何が何だか理解できないままでいるカメ。



〝・・・!!〟



「何処も怪我なんかしてないか?
家まで一生懸命歩いて来てくれたんだね。大変だったろう~? 
疲れちゃったんだね・・。 動かないから心配したよー。
・・・ありがとう~! ほんとに ありがとう! 
あの時、聞いてたんだね。。 もう無理するな~。
・・・お前はここに居ればいい。。」




      ・・・・・・にいちゃんが 喜んでくれている~!
           だけど、心配まで掛けちゃった~~。・・・・・・・




〝いい・・・。いいよ~。喜んでくれたら、ボクも嬉しい!お薬、お母さんに・・・〟
「もう お前がそんな心配しなくていいんだよ。。 
うん・・・。 でも、ありがとう!とても助かるよ。
おっかぁ~に、薬でも・・・お医者様でも診てもらえるー。」
カメの言い終わらない内に、青年は言った。


・・・と、そこへ嫁さんになった女の人が来た。
「あなた。。 やっぱり、・・・ここだった・・のね。。」
少し小走りで来た様子。。


「玄関に置いてあった あの真珠、やっぱりそうだったよ。
どうやって運んだのか・・・、だけど 長い道のりだったろう?
海では速く泳げても、陸は そうは行かないものな。」

「まぁ~、・・・この間の話の直ぐ後だから、私もカメさんかと思ったの~。
でも、こんなに重い体では・・・って、信じられないくらいよ~。
カメさん~! ありがとうね~~!!」

カメには、今日は嫁さまの言葉も聞き取れた。
何だか気恥ずかしいと思いながら、ふと気づいた。




     ・・・・・・・ボクが「亀のまま」で、長い時間掛けて
           家まで届けたと思ってるのかな~。。

           どうしようかなぁ~。。
           人間になれるんだって、言った方がいいかな~?・・・・・





そうだったのだ。
この二人は、家まで届けるというのも不思議と思っているくらいだ。
まさか、人間になれるとは、想像もつかないことだろう~。



〝・・・あ・・・あのね・・・〟


カメが言葉を掛けようとした時、嫁さまは急に泣き出し
「私、本当に嬉しいわ~。感激よ~~!
だって祝言の日に・・・、偶然だったとしても「祝言」の日によ?!
・・・カメさんから、お祝いして貰ったみたいじゃない~!
本当にありがとう~~!! ありがとうございました~~!!」
涙と共に 何度も何度もカメにお辞儀して言った。


〝・・・あ・・・、いいよ。。〟



カメは、言いそびれたな・・・、まぁ~いいか~、いつかは・・、と
「人間」になれる事を伝えないでおいた。








それから数日後、二人はカメに もう一度 御礼を言いに来た。。

お母さんを、町の医者に診てもらう事ができたこと、よく効く薬も頂けたこと、
そして、青年の母親が元気になりつつある事。。。


カメの傍に、貝殻が少しあるのを見て青年は、
「まだ、今も探しているのか?」
〝うん。 でも、簡単には無いね~。もっときちんと探してみるよ~。
・・・真珠を飲むのかと思ったー。 違うんだね。〟
「お前は、時々 面白いこと言うなぁ~~。あ、でも 町の事を知らないもんな~。」
青年は 笑いながら・・・、
「真珠」は「お金」になって、その「お金」でいろんなものが買えたり、
いろんな事もできる様になる・・、
仕事で採れた野菜などよりも ずっとお金になるものだと教えてくれた。。


前にカモメ達から聞いた話の中にもあったな~と思い出していた。


「そうね~。カメさんには、〝綺麗な珠〟というだけだったかも知れないね~。
でもね~。町の人はその〝綺麗な珠〟だからこそ『宝物』にしたくて、
“お金”と交換してくれるの。。。
私達は、お陰で生活が安心できたわ~~。」
と、嫁さま。


「あ!でも、カメさん~!安心してね!
あの最初の一個目は あの人の御守袋に いつも持っているわ~!」



時々、嫁さまの声が途切れて聞こえる事もあるが・・・、
まだ慣れてないからだろうと、カメは思っていた。


嬉しそうにカメが聞いてると、嫁さまがもう一度言った。






「だから~、あの一個を使わないで済む様に・・・また真珠を集めて欲しいな~。」

と、カメの耳元で囁いた。






今日は 多少 波の音が大きく響き、普通の人間なら囁きでは聞き取れにくい。
でも、「心で話せる・交信出来る」と信じてみて、嫁さまは言ってみたのだ。

・・・・・「(もし、通じなくても しかたない。伝わればいいけれど。。)」・・・



〝・・・・??!〟


また、カメには嫁さまが何を言ってるのか 聴く事ができなかった・・・!

青年の耳には 人の囁く声など、波の音で掻き消されて、分からない。
カメは、青年に問い掛けようにも出来ない事と察した。




カメには、どうしていいか? いったい何を言いたかったか?

分からないまま。。




だた・・・、

カメは、これからも少しずつ探して行こう~、また届けに行こう~と、
そう思っていたから・・・。。






       真珠の玉が 幸せになれる玉なら・・・

       お星さまの約束を守りながら 探して集めよう~~!







どちらにしても「探して集める」事には、違いなかった。。。



言葉は、分からないまま・・だったが・・・。
 



 


 
 
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by sino-kotoha | 2013-09-26 20:13 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 14 ~祝言の夜~

朝が来て、お陽様はカメの体を温めだした。

ぼんやり、ゆっくり風景を見ながら・・・、
あれは・・やっぱり夢だったのかなと。。


いつもと変わらず一日が始まるのを感じてると、昨夜の事は まるで夢物語。





昨夜の事・・・。
お星様にお礼を言ってから、もう一度 海へ潜り、
一つだけ貝を取ってみたのだった。


浜辺で、貝を開けてみると・・・。

〝わぁ~!あったぁ~~!〟
小さな真珠が そこに入ってたのだ。

そっと横へ置いて、貝の身をありがたく頂き・・・、貝殻に大切に仕舞って
また軽く砂を掛けておいた。


う~っとり 幸せな気持ちでいたら、急に睡魔が襲ってきて、
そのまま倒れ込む様に眠ってしまったのだった。

そして、気がついたら・・・いつもと変わらぬ「亀」の姿に。。。





ふと カメは昨夜仕舞っておいた筈の所に目をやってみた。

そぉ~っと 砂をどけた其処には、貝殻が・・・。
その貝殻のふたをどけてみると、そこに真珠が光っていた。

〝あ!あった! やっぱり夢じゃなかったんだー。本当の事だったんだ~。〟

もう一度その真珠を大切に仕舞いながら思った。
〝今度、にいちゃんが来る時まで、ここに仕舞っておこう~!
それまでに、あといくつ取れるかな。。にいちゃん、喜ぶかな~。〟

カメは、にいちゃんの「笑顔」を思い出していた。。。








いつもと同じ様に一日が過ぎ・・・、夕陽がまた明日、と・・囁くころ。。



〝はっ?! 夜が来る!・・・ボクが「人間」になる時間だー。〟

どの様に、人間になるのか ちょっとドキドキしながら、その時を待った。





茜色の空・・・橙色の雲や桃色の雲・・・。
次第にその桃色の空から紫色が混ざり、
静かにその色の光は落とされていった。



夜空に星が集まり始めるころ。。。



のんびり~ゆっくりのカメにとっては〝目を回すぐらいの変化〟に感じられたが、
実際にも、それは一瞬のことだったろう。。

「亀の体」が「人間の体」に変わってゆくのでは無い。
気がついて 振り向くと、そこには眠っている「自分の体」が居た。


〝だけど、ボクは起きているよ。〟

ちょうど、カメの体から 少年の影が 生まれる様に・・・分離するともいうのか?
やはり、この「カメ」だけに許された「不思議な現象」なんだろう。。



〝ヨシッ!〟


「握り拳」に力を込めて、海へと向かっていった。。。












それから 幾晩か・・・、
カメは 少しだけ取っては・・幾粒かを また大事に仕舞った。




〝にいちゃん来ないな~。〟


昼間は、木陰で待ってたりもした。。



〝あの時、お星さまが「祝言」のこと言ってたな~。
それで来れないのかな~。〟








また、夜が来て少年の姿になったカメは、
その「人間の手」に一つずつ真珠を乗せ、暫くじっと見つめ・・・。
その真珠たちを 優しく、そして しっかりと手に包みこみ、少年は歩きだした。



青年が居るであろう、「村」の方向へと。。





不思議だった。。


初めて向かうのに、〝どう行けばいいのか〟がわかる。
これも「不思議な現象」のせいなのか? 
・・・星が行き先を静かに導いてるのか?



暫く歩いてると・・・
向こうの方に明るく賑やかな温もりがある事が分かった。


〝あの家が、にいちゃんの家。。〟


ちょうど その日は「祝言」の日だったのだ。

両家、親戚、村の人達の笑い声、唄、・・・家の灯と共に溢れだす様。。




カメは 心臓が早鐘の様にドキドキが止まらない。

〝ここまで来たのに・・・! 少しこわいよ・・・。〟


今まで、軽い「足取り」で来れたのに、急に足が前に進まない。




それでも・・・・・。




勇気を出して、玄関の軒先まで なんとか行く事ができ・・・、

そぉ~~っと・・・その真珠を玄関の隅っこに置いて。。。




後は 一目散にその場を去った。







その後ろに・・・懐かしい声を聴いたような・・・気がした。。。



・・・けど・・・、







振り向かず 今来た道を ひたすらに、海に向かって走っていった。。。




 




 
 

 
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by sino-kotoha | 2013-09-23 11:40 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 13 ~少年の姿~

少しだけずつ気温が上昇し始めていた。
近くの子供らが 時々海辺に遊びに来る。。


カメは本来は海で生きるもの。 
「探し物」のこともあるが、気温が高めの時間帯は海の中で過ごしている。
それでも時折、水面に顔をちょこんと出して陸の方を眺めたりした。


〝今日も にいちゃん、来てないな~。〟
浜辺では、子供達が波と追いかけっこしてるようだ。。



夕方の涼しくなった頃、浜辺に上がり木陰の方で ひと休みをする。


耳元には波の音。。。

カメは、そのままウトウトしだした。。






どれくらい眠ったのだろう。  どうやら、夢を見たらしい。

薄っすらと目を開けてぼんやりしていると・・・、いつもの目線では無かった。


〝・・・・・・。  ・・・・・・?〟


高い位置の目線。 
だけど、初めて見る様子。

何となく辺りをぐるりと見渡してみた。



〝・・・? あれ? だ・・・れ・・・? ・・・ボ・・ク・・?〟


振り向いた時、そこに〝一匹の亀〟が 眠っていた。

雌の亀ではない。  
何故か「自分」だと判ってる様な気がしてた。


〝・・・ユ・・メ・・・? そうだ、夢なんだ。。。〟


ちょっと高い位置から見てるなんて、変な感じと思いながら、
暫くの間、眠ってる自分を見下ろしていた。。





≪手を見てごらん。≫


〝耳元? 何処から 聴こえてくるのだろう?〟

カメは、きょろきょろ見渡したが、その姿らしきものはない。


あ!夢だから~、と思いながらも、眠ってる亀自身の前足を見た。
〝ボクは「手」じゃないよ。。 今見ても・・・夢の中でも、ヒレの足だよ。。〟



≪違う。 そのまま 感じるとおりに「手」を見てごらん。≫

〝え? 感じるとおり?・・どういうことだろう~?〟

そう思いながらも ふと下を向いて
何気に自分の〝前足がありそうな所〟を見てみた。




〝!?〟




カメは、じっと見ていた。

見た事のある形! 
にいちゃんと同じ形の・・・「手」!



〝「手」だァ―――!! ボクに「手」がある――――!!!〟



じぃ~っと見ていて・・・、次に そぉ~っと背中に「手」を当ててみた。


〝甲羅! 無い!!〟


順番に手でなぞりながら 確かめていった。。

・・頭、顔、くび、肩、腕、胴・・・・・!


〝わ!! 「足」だァ――――!! 人間の「足」だァ―――!! 立ってる・・・!!!〟



やっと分かった。  何故、高い目線で見下ろせたのか。。




試しに一歩・・・、また一歩・・と、前に出てみた。


〝にいちゃんみたいに、同じ様に歩ける!〟
ドキドキしながら、また一歩、また一歩と・・・。


〝わぁ~! 軽い!! 早い!! 今度は走ってみよう~。〟

砂浜の上を 思いきって走ってみた。
が、流石に初めて人間の姿でその足で走った為、
直ぐに転んでしまったカメだった。


〝いけない~、いけない~。 そぉ~っと 歩いて行かないとね。〟


人の姿の〝カメ〟は、そのまま 波打ち際まで歩いてゆき、
泳げるかなと 海へ入っていった。

〝ヒレが付いてないけど。。。  あ、これは夢だった。。〟


海に充分慣れている〝カメ〟のこと。 
泳ぎは全然 大丈夫だった。



海をひと泳ぎし 海面から顔を上げると、そこには満天の星空があった。。
星空を少し見上げたりしながら、浜辺の方へと戻っていった。




〝とっても すてきな夢を見た~。
・・・だけど、夢なんだなぁ~。 本物じゃないんだ。。〟

少しがっかりしながらも、
いいや~ ! 楽しい思い出できた!と思い直していると・・・




≪これは、夢ではないですよ。≫

また、あの声だ。  なんだか空から聴こえてくる様な気がしてきた。

〝夢じゃない? どういうことー?〟

≪いつも あなたが一生懸命なのを見て、願いを叶えようと思ったのです。≫



≪眠っている時の夢じゃありません。
だけど、あなたの心に想う「夢」を・・その「夢」を叶えてあげようと思いました。≫

〝ええっ? ホントにホント?〟

≪そうです。 だから、明日も同じ様に人間の姿になってますよ。。≫

少年カメは、「わぁ~!」と嬉しそうに頬を染めた。




〝じゃぁ~、『真珠』もとれるんだね~。〟




≪・・・。 ただし・・・、条件があります。≫

〝え? な~に?〟

≪真珠は、むやみに取らないでくださいね。 身を食べられるだけに・・≫

〝わかってる~!当たり前じゃない~! その貝さんも生きてるんでしょう?
わかってるよ~。 それに、そんなに取れないみたいだし~。〟

少年カメは、その声の主が言い終わらない内に、弾んだ声で答えた。



≪まだ、条件は あります。。≫

〝うん?な~に?〟

≪この「人間の姿」で居られるのは、夜だけです。≫



それは、夜だと誰にも怪しまれないであろうという事。
また、魔法の様な「不思議な現象」は夜の方が力を注げるからと声の主は言った。



≪人間といっても、本物の人間じゃない。それに・・・
ほら、少し体が光ってるでしょう~?
暗闇では、その光が頼りになると思います。本物の人間は、自ら光らない者。
夜の海には誰も来ないから、怪しまれない。。≫

〝へぇ~~。そうなんだぁ。。
だから、さっき海の中でも安心して泳げたんだな~。
あ! でも、にいちゃん・・・〟

≪あの青年は もうすぐ祝言を上げる様子。
まさか・・・夫が夜な夜な抜け出すなんて事ないでしょう。≫



≪それと・・・。≫

〝まだあるんだね。 いいよ。「条件」というもの いっぱい言って~。〟

≪これは、カメさんにとって 可哀そうなんですが・・・。≫


その声の主は、一息だけついて・・・話し始めた。


≪「亀」の時は、今まで通り、何も変化が無ければ青年と会話が出来るでしょう。
只、万が一、夜・・宵の口にでも、青年と逢っても言葉を交わす事は出来ません。
その前に・・・、青年がカメさんの事に気づかないでしょうし・・。
だけど、カメさんの方は青年やその他の「人間の言葉」を聞く事ができます。
「人間の姿」に なっている時だけです。
もし 見つかりそうになったら・・・という場合ですが。。≫


カメは、「会話が出来ない」ことを思うと、ちょっと哀しくなった。
だけど、また自分の「手」を見て、

〝これで、にいちゃんに恩返し出来る。
にいちゃん達に安心して暮らしてもらえる。〟


もう一度強く心に決めて、

〝いいんだよ。。ボクは 大丈夫! 夜だけでしょう~?
だから、ダ・イ・ジョウ・ブ!〟


キッ!と、夜空を見上げた。  誓いをたてる様に!





ス―――――ッっと、ひとすじ・・・星が流れた。。。






〝・・・・・、あの声は、お星さまだったの・・・?〟







空は、ただ満天の星があるだけ。。 もう声はしない。。






〝お星さまだったんだね。 ありがとう~! ボクを見ててくれてありがとう!〟










       ・・・・・ボクの 願いをきいてくれて・・・ありがとう・・・・・  


 


 


 


 
  
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by sino-kotoha | 2013-09-20 21:02 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)

「カメのおんがえし」 12 ~「手」~

あれから何度か海底を探してみたけど、キラリと輝くものは見つからなかった。
真珠を見つけた時と同じ様な それらしい貝も探してみた。
・・・が、しっかりと閉じていて、そこにあるのかどうかも分からない。


こんな時、カメはいつも思った。
〝人間は「手」があって何でも出来る。「道具」を使えて何でも出来てしまう。
いいなぁ。。〟

出来ないことと言ったら・・・、
海を長い時間 泳ぎ続ける事が出来ない・・くらいだろうか。



〝あのお嫁さんになる人、欲しそうな眼をしてたなぁ。
二人の話から、「お母さん」「病気」「薬」・・・何か言ってた様な気がするなぁ。〟

〝あの珠は、病気を治すのかな?「薬」になるのかな?薬って?どんなの?〟

〝食べられるのかな。。 それとも 貝の身を食べるといいのかな。。〟



カメには 解らないことばかりだった。
本来、カメには 必要でもない事だから。。。
否、他の動物でも、左程 必要でもないだろう。。。
「必要」を感じるのは、・・・〝人間〟だけなのかも知れない。
〝人間の作った世の中〟が、そうさせるのかも知れない。。。



それでも、カメは〝にいちゃん〟や〝その家族〟の為になるのならと、
只それだけで、毎日 海の中を探していた。




〝はぁ~~。。。  この前足が、せめて「手」になってくれたらなぁ・・・・・。〟





     ボクは只、にいちゃんの喜ぶ顔が見たい。
     安心して欲しいだけなんだ。。。

     ボクが・・・声かけてもらっただけで・・、
     とてもとても、嬉しかったように。。
     
     怖くて・・何も考えたくなくなってた・・そのボクが。。
     そのボクが、安心して生きていられるってこと、
     にいちゃん達にも、一緒に・・・・・!!










昼間は、海へ。。。




そして、夜は星たちに向かって・・・願ってみた。。。









       『お願い! ボクにできること、なにかありませんか~!』
 






 


 

 
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by sino-kotoha | 2013-09-17 12:09 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(2)