「カメのおんがえし」 10 ~一個の真珠~

〝嬉しい事、幸せな事と思ったのになぁ。。〟
空を飛んでいるカモメ夫婦を目で追いながら、昼間 青年から聞いた話を
思い出していた。。



兄がいなくなって、両親の事も これからのあらゆる事も、
一気に青年の肩に掛って来た。
仕事も一生懸命し両親の面倒もみるつもりでいたから それはそれで構わない。

そう思っていたが、一人より二人、年頃もよく・・・
少し若くても「いい話」があるなら・・・と。
叔父が持ってきた話、
両親も「いい娘だ」と喜んでいるのを見て・・・、
本当は もう少し時間が欲しかった・・が、承諾したのだった。


「もう少し落ち着いてからと思ったんだけどな・・。 条件は悪くないんだよ。
何か、その気になれないのは・・まだ時間がそんなに経ってないからかもな。。
俺って、まだガキだな・・考え甘いよな・・・。」
と、苦笑いをしながら。。。






“へぇ~、人間って 時々 余分な事 考えるからなぁ!”
あのいつものカモメが言った。

〝ずっと一緒に居たいな~、家族で居たいな~と思うものじゃないの~?〟
“そんなの当たり前じゃん!
こいつと一緒に生きていこうって・・・思ったからサ・・・。”
カモメは、照れながら少し強めの口調で、言い切った。

その様子を近くで聞いていた雌カモメは微笑みながら、
“いろんな事があって戸惑ってるだけよ。
何てったってカメさんが応援してるんだもの。
・・・その内 きっと いい風になっていくわ。”




      そうだよね。。
       「責任」の方を強く思っちゃったんだね。。
      にいちゃん言ってた。

      ボクは、いつもここに居るから・・。
      ・・・時々、海へ来れたらいいな・・・。





そんな余裕が出来たら・・いいなとカメは願った。。。











静かに静かに時だけが過ぎてゆく。。



この浜辺では、ただ淡々と同じリズムで
お陽様に照らされ、月に照らされを繰り返しているだけ。



毎日カメは海を泳いでいた。
餌を探すのもあるが、一緒に泳いだ日の事を思い出しながら海中を見渡していた。




〝?〟



海底で何かが光った様な気がした。



〝なんだろう~?〟



そこには、「小さな丸い光」がポツンとあった。


〝???  これって! あの時の流れ星???〟


そっと口に銜えて落とさない様に上昇した。


その丸い光る物は、お陽様の反射を浴びて、もっと強く輝き始めた。





砂浜にそっと乗せ、暫く眺めていたら。。。


“まぁ~キレイ~!  それは真珠よ~。”
雌カモメが、教えてくれた。


〝真珠?・・・流れ星かと思った。〟
“うふふ。。違うよ~。 でも、とても いい光だからお星様に見えるね~。”
〝ふ~~ん。。キレイだね~~。。 これ一個だけあったんだよー。〟
“じゃぁ~、大切な宝物ね~!”



〝宝物かァ~。そうだ! にいちゃんにあげよう!〟

一個しかないけど、大切だけど、だからこそ あげようと思ったのだ。


〝ボクは、また海で探せるからね~。
村の中でも「海」を思い出せるからいい筈だよね。〟



“人間には渡さない方がいいと思うなぁ。。”
“おいらも思うぜ。 それは、人間にとっても 財という宝物だそうだ。
「カネ」に換えられるらしい。。 
お守り代わりに渡すならやめといた方がいい。”

それを聞いてカメは膨れっ面をした。

“あ、いや、アイツは結婚など真剣悩む奴だから そんな事ないと思うけどさー。”
カモメは、慌てて弁解をした。

〝・・・・・もう、砂なんか かけないよ・・・・。〟
そういいながら、真珠を見て思った。。


〝いいよ。 必要なら~、それで にいちゃんが助かるなら~。。
また ボクは探すだけだから。〟


今度、また逢えた時は「真珠」を渡そうと決めた。






カモメの話の通りでも構わない。



だけど、きっと大切に持っててくれるだろう~ と心の何処かで解ってる、


そんな気がしていた。。
 






 
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by sino-kotoha | 2013-09-11 10:00 | 創作小説 『カメのおんがえし』 | Comments(0)